Fillmore (70) の分析により他動詞でも transitivity により2種類に分かれるとわかってきている。目的語がその状態を変化させているかどうかで分かれるのである。いわゆる状態変化の他動詞と、表面的にはなんの変化も見られない接触や打撃の他動詞とは文法的なふるまいも異なってくる。
(1)
a. I kicked his leg.
b. I opened his door.
(1a) は打撃動詞で (1b) は状態変化の他動詞である。打撃動詞では his leg はみためにはその影響が視覚的にとらえることはできないが (1b) の状態変化の他動詞では door の変化は明らかである。このような違いは日本語においても文法的なふるまいが異なってくる。
(2)
a. *彼の足を蹴っておく。
b. 彼のドアを開けておく。
「ておく」という補助動詞は状態変化の他動詞にはつくことができるが、打撃動詞には非文となる。