人気ブログランキング | 話題のタグを見る

that 節

that 節は名詞を導く接続詞と一般には考えられているが、言語学では CP つまり補文標識で補文句なのである。名詞句はつねに格を保持していなくてはならないが、 that 節は格を帯びていない。

(1)
a. Tom is certain of John's arrival.
b. *Tom is certain John's arrival.
c. Tom is certain that John will arrive.
d. *Tom is certain of that John will arrive.

名詞句は格を保持していなければならない。(1b) が非文となるのは形容詞の certain は動詞と異なり格を与えることができないので John's arrival が格を保持することができなくアウトになっている。形容詞は格を付与できないので (1a) のように名詞句を伴う場合には of 挿入がなされ前置詞 of が John's arrival に格を付与する。しかし that 節は名詞節ではないので格を保持しなくても問題ない。ゆえに (1c) のように certain の後に直接置くことに何の問題もない。

(2)
a. John's arrival was expected.
b. *It was expected John's arrival.
c. That John would arrive was expected.
d. It was expected that John would arrive.

受動態は動詞の目的語に格を付与できなくなるので主語の位置に移動して主格をえると minimalist program 以前の理論では考えられていた。 (2a) の John's arrival はもともとは expect の目的語であったのであるが、expect が受動化されたので主語の位置に移動したと考える。 (2b) が非文なのは目的語の John's arrival が格を保持していないからである。一方、 that 節は格しないので (2c) のように was expected の前でも (2d) のように expected の後でも問題がない。 that 節は補文句なので名詞節ではないので格フィルターが必要ないのである。

that 節_b0356108_15271441.jpg

by miyakmae | 2021-06-11 07:08 | 言語 | Comments(0)

言語学と猫のブログ    HP「英語と日本語の窓」は    http://miyak.web.fc2.com


by miyakmae