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非能格動詞

自動詞は主語が他動詞と同じ位置に生成された非能格動詞と動詞の目的語の位置に生成され、その名詞句が主語位置に移動したと考えられている非対格動詞に分類される。一般に非能格動詞は主語が意図的な行為を行う動詞で、非対格動詞は主語に意図性がない事象を表す動詞であると考えられている。しかし非能格動詞の中には主語に意志のないタイプもあるので注意が必要である。


主語に意志のある非能格動詞


work, play, speak, talk, smile, think, meditate, skate, ski, swim, walk, quarrel, fight, knock, hammer, kneel, bow, cheat, study, laugh, dance, crawl, shout, mumble, roar, bark, etc.


主語の意志のない生理的な活動を表す非能格動詞


cough, sneeze, hiccough, belch, vomit, sleep, etc. (Perlmutter & Postal, 1984)


このような他動詞的な非能格動詞は非対格動詞と異なり、その名詞形では動作主を表す前置詞 by で表すことができる。一方、非対格動詞の名詞形は主語を by で表すと非文となる。


(1)

a. work by Tom

b. *falling by Tom

c. falling of Tom


また非能格動詞は英語の使役の have を使った依頼使役文で使用することが可能であるが、非対格動詞は依頼使役文にすると非文となる。


(2)

a. I had John run.

b. *I had John fall.


次に名詞と名詞の複合の場合、最初の名詞が目的語、主要部の名詞がその動詞というのが一般的である。非能格動詞の主語はもともと主語位置にあったのでなかなかその主語と動詞派生の名詞とが複合されて複合名詞句を構成することができない。しかしもともと目的語の位置にあった非対格動詞の主語は動詞派生の名詞と複合して複合名詞句を構成しやすい。


(3)

a. rainfall, landslide, earthquake, daybreak, sunrise, sunset, toothache, soundchange, cloudburst, nosebleed, planecrash, etc. (Kageyama, 1996)


b. *boysmile, *snakecrawl


最後に結果構文となるのは目的語をもつ動詞でなくてはならないので、非能格動詞では結果構文は構成できない。


(4)

a. The river froze solid.

b. *The boy ran tired.


(4b) は疲れていて走ったという意味の場合は問題ないが、「走って疲れた」という意味には取れない。一方、 (4a) は「川がカチカチに凍った」という結果構文の意味にとれるのは the river がもともと froze の目的語の位置に生成したものであると考えられるからである。


非対格動詞



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by miyakmae | 2020-05-03 09:34 | 言語 | Comments(0)

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