普通、「やる」の反意語は「もらう」である。だから
(1)
a. 太郎がうわさを流してやった。
b. 太郎がうわさを流してもらった。
(1a) の反対は (1b) のように思われるが、実際は (1a) も (1b) も同じで「うわさが流れた」ことを共通で、その事象に対して誰が恩恵を被ったかが異なっているだけである。 (1a) は「太郎以外」の人で (1b) は「太郎」である。一方、恩恵ではなく被害の場合は
(2)
a. 太郎がうわさを流された。
(2a) のようになり「うわさが流れた」事象に対して影響を受けたのが「太郎」ではあるがその影響がマイナスの影響である。 (2a) と (1b) は似ているが一方は benefactive で一方が malfactive と反対なのである。このような「やりもらい動詞」や「られる」は単に直示性を表しているだけみたいである。