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定性制約

Milsark (1974) の有名な定性制約は、there 構文の be 動詞のあとにくる名詞句は the などの定性を表す冠詞や数量詞であると非文になるという制約である。

(1)
a. ???There is the boy in the room.
b. There is a boy in the room.

(1a) の ??? は boy の前の冠詞が the と定性であるからである。さらに

(2)
a. *There are all boys in the room.
b. There are many boys in the room.

(2a) の非文もこの定性制約で説明することができる。日本語には英語のような不定冠詞とか定冠詞のようなものが存在しないのでこの定性制約は存在しないと考えがちである。

(3)
a. 部屋にすべての少年がいる。
b. 部屋に多くの少年がいる。

(3a) は (2a) と異なり文法的で問題がないように思われる。しかし日本語にもこの定性制約がある。ただし存在文ではなく所有文で起こるのである。

(4)
a. *教授にはすべての孫がいる。
b. 教授には多くの孫がいる。

所有文の「いる」「ある」では英語と同じく定性制約が生じるのである。

定性制約_b0356108_05342794.jpg

by miyakmae | 2018-12-14 07:59 | 言語 | Comments(0)

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