認知言語学と生成文法の一番の違いは言語を動的にとらえるか静的にとらえるかの違いである。生成文法は言語は生得的なもので人間の脳の中に抽象的なかたちで存在しているという静的なとらえ方をしている。静的といっても言語が静的というわけではなく、言語がある理想的な世界において一時的に理想化された形を研究対象として分析するという立場である。一方、認知言語学は言語は動的に変化していくものであり、その動的な変化のメカニズムにこそ言語の本質があるととらえる言語観である。面白いことに生成文法はアメリカの東海岸の私立の大学から発展して、認知言語学は中西部以西の州立の大学から発展していったことである。