受動態とは動詞句を中心とした主語と目的語の入れ替えを言う。形容詞は基本的に動詞句のような態の変形は行わないが、やはり形容詞述語も自動詞的形容詞と他動詞的形容詞があるので、他動詞的形容詞の場合には態の変形が理論的には可能なはずである。
(1)
a. John is tall.
b. John is envious of Tom.
(1a) の tall が intransitive adjective で (1b) の envious が transitive adjective である。こうみると (1b) の John が主語で (1b) の Tom が目的語となる。 envious の場合は
(2)
a. John is envious of Tom.
b. Tom is in the enviable position to John.
c. Tom's reputation is enviable to John.
envious の受動態は受動の接辞 -able をつけると受動形容詞になる。一般的には enviable は叙述的というよりは制限的に使うが受動を表している。しかし envious のように接辞によって態を変えないで、そのままの形態で能動、受動を表す形容詞もある。
(3)
a. This river is abundant in fish.
b. Fish are abundant in this river.
どちらが受動でどちらが能動かはなかなか判断できないが、形容詞が他動詞的に使われると視点によりどちらに焦点を当てるかによって受動、能動が可能である。このような文法現象をなんというのかわからない。交替でもいいのであろうが形容詞の交替ではなにも見つける事ができない。認知言語学の figure と ground のことであろうが認知言語学や認知文法は base と profile とか trajector と landmark とかいろいろな用語を使っているので調べようがない。 focus と background のことなのであるが。