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束縛原理 A

照応形はその束縛範疇で束縛されなくてはならないというのは GB理論の時の原理であるが、最近のミニマリストでは index は禁止されているので、照応形は領域 D で c 統御するものと同一指示でなくてはならないというらしい。どちらにしても再帰代名詞はいろいろと問題を起こすと思う。

(1)
a. John saw a snake near him.
b. Max rolled the carpet over himself.
c. Max rolled the carpet over him.
d. Lucie explained Max to herself.
e. Lucie explained Max to himself.   (Reinhart & Reuland, 1993)

(1a) の him と (1d) の herself の違いをどのようにして説明するかいつも問題となる。一般には (1a) の前置詞 near は動詞の saw が選択しているのではなく、near 以外にも by とか on など自由であるのに対して (1d) の前置詞 to は explained が選択していて他の前置詞では不可であるという説明が一般的である。つまり (1a) のように near him が付加詞であるか (1d) のように to herself が項であるかの違いによって再帰代名詞形にするか普通代名詞にするかが決定するのである。すると (1b) と (1c) の違いは前者が項で後者が付加詞なので

(2)
a. マックスはカーペットをぐるぐる巻きにした。
b. マックスは自分のほうにカーペットを丸めた。

と違いがでてくる。しかし

(3)
a. No student can solve the problem better than himself.

(3a) のような場合はどうなるのであろう。やはり再帰代名詞は昔の単なる強意の使い方だけだったのがどのように文法化したのかを調べなくてはうまく分析できないような気がする。

束縛原理 A_b0356108_08355602.jpg

by miyakmae | 2018-07-11 08:23 | 言語 | Comments(0)

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