意味変化の中で事象に対する話者の主観的な信条や態度を表すことを主観化という。英語の助動詞が根源的意味から認識様態的用法に変わっていくのがそうである。
(1)
a. Tom must study English.
b. Tom must be a student.
(1a) の must は根源的用法で「しなくてはいけない」という義務を表すが、「しなくてはならない」ならする確率は非常に高くなるので「違いない」という認識様態的用法が生まれてくる。この認識様態的用法は話者の主観的な信条や態度を表しているのである。このような用法は根源的用法の後に生まれてくるのである。 seem ももとは「適している」という動詞であったが、これが話者の主観的な信条を表す「思える」という意味を獲得するようになるのである。
(2)
a. John promises Tom to pay him back.
b. John promises to pay Tom back.
(2a) は普通の「約束する」という意味であるが、これが拡張して話者の主観的な信条や態度を表すようになったのが (2b) の promise である。ここでは「見込みがある」とか「ありそうだ」という意味に変化している。