Carlson (1977) の有名な個体レベル述語と場面レベル述語を応用した Pustejovsky (1995) の概念が個体レベル名詞と場面レベル名詞の分類である。人を表す名詞には2種類あり、個体レベルの名詞と場面レベルの名詞がある。
(1)
a. The pedestrian is John.
b. John is a violinist.
(1a) の pedestrian も (1b) の violinist も両方とも人を表しているが、 (1a) の pedestrian は場面レベルの名詞で (1b) の violinist は個体レベルの名詞である。それぞれ別のレベルの名詞なので同時に使っても意味的な衝突は生じない。
(2)
a. The pedestrian is a violinist.
英語では人を表す名詞には名詞には -ist 動詞には -er のような接辞がつき、個体レベルか場面レベルかはあまり区別しないが、日本語の場合は個体レベル名詞には「家」や「手」をよく使い、場面レベル名詞には「者」や「人」をよく使う。
(3)
a. 運転手
b. 運転者
(3a) が個体レベル名詞で (3b) が場面レベル名詞である。Pustejovsky はこれらオントロジーを Qualia Structure の Agentive role と Telic role で区別した。