かき混ぜ文

日本語など名詞句には必ず格を表す後置詞がつくので順番を入れ替えても問題がない。このような項の入れ替えをかき混ぜという。

(1)
a. 太郎が次郎を褒めた。
b. 次郎を太郎が褒めた。

かき混ぜは移動現象であるが、節を超えて移動することも可能である。

(2)
a. 太郎が次郎が妹の美しさを褒めたと言った。
b. 妹の美しさを太郎が次郎が褒めたと言った。

(2) の「妹」は太郎の妹か次郎の妹か曖昧であるが (2a) の「次郎が妹の美しさを褒めた」という節から抜き出して移動させても問題がない。かき混ぜは節外に移動することが可能である。節外への移動は、移動場所は A' つまり項位置ではないことになる。 (1b) の文で「次郎」は (1a) の項位置である「太郎」の位置に移動したのであるが、 (2b) の「妹の美しさを」は節外であるから A'位置に移動したことになる。 (1b) を正確に表すと次のようになる。というのは再帰代名詞や相互代名詞は A 位置で先行詞に C 統御されないといけない。 A 位置を超えると C統御されず非文となる。

(3)
a. 太郎と次郎をお互いの父が褒めた。
b. *お互いの父が太郎と次郎を褒めた。
c. *太郎と次郎をお互いの父が先生が褒めていると言った。

(2b) では節外に移動したかき混ぜ文であるが文法的であるのに、 (3c) では非文になるのは長距離のかき混ぜ文では A' に移動するため相互代名詞が A 位置で C 統御されないからである。

b0356108_16351686.jpg

[PR]
by miyakmae | 2017-11-25 07:53 | 言語 | Comments(0)

言語学と猫のブログ    HP「英語と日本語の窓」は    http://miyak.web.fc2.com


by miyakmae
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31