昔からしっくりいかない語が bestow 「授ける」である。 stow は place 「置く」という意味である。 stowage 「積荷」とか stow away 「片づける」と同根である。 bestow の接頭辞 be- は強調を意味する接頭辞であるから bestow は単に place という意味である。確かに monarch や God から上目線で何か honor や title などを place されるところから「授ける」という意味を得たのであろう。そうすると前置詞も on を使うのがイメージできる。
a. God bestowed freedom upon us.
しかしどうも bestow というと confer を思い起こしてしまう。confer の fer は carry という意味である。 place とは程遠い意味でこちらの方が「授ける」にはぴったりのようがする。bestow のような上から下への移動を別の角度からみたのが confer なのかもしれない。 confer は右から左のように horizontal な動きである。しかし両方とも同じような概念を表しているから前置詞は on や upon を使う。
a. The state confers rights on individuals.
でも「授ける」はやはり上下というより左右の動きのような感じがする。 だから bestow はどうもとらえにくいのであると思う。bestow の stow は place という意味でほかにも instead of の instead などに現れる。 instead of は in the place of と同じ意味で、確かに place 「置かれた場所」や「置かれたもの」という意味である。ここから地名にもよくあらわれる -stowe とか -stowがつく地名は神によって授けられた場所なのであろう。それにしてもやはりしっくりこない。多分 condescending なニュアンスがあるからであろう。イギリス人にはすんなり受け入れられる単語なんだろうな。