must not の意味

英語の助動詞 must とその否定形 must not は習いたてのころいろいろと意味が混同してしまう。しかしこの混同は日本語では英語の助動詞のような補助動詞があまりないからである。

(1)
a. Tom must do his homework.
b. Tom must not do his homework.

ふつう (1a) は補助動詞ではなく複文の構造を持った次のような日本語に意訳されて表現される。

(2)
a. トムは宿題をやらなくてはならない。

(2a) の否定であるから (1b) は「トムは宿題をやらなくてもよい」と勘違いされるが実際の英語は

(3)
a. [must [Tom do his homework]]
b. [must [Tom do not do his homework] ]

という意味である。つまり

(4)
a. [べき[トムが宿題をする]]
b. [べき[トムが宿題をしない]]

つまり

(5)
a. トムは宿題をやるべき。
b. トムは宿題をすべきでない。

となる。 (1b) の not の作用域はあくまでも do his homework で助動詞 must をも含んでいるのではない。一方、

(6)
a. Tom doesn't have to do his homework.
b. [ない[トムが宿題をすべき]]

(6a) は助動詞に準ずる have to の前に否定辞の not があるので not の作用域は Tom has to do his homework 全体となり、それの否定であるから「トムは宿題をやらなくてもよい」になる。must と have to の否定はその作用域が異なるから、当然、意味も異なってくるのである。

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by miyakmae | 2015-01-01 00:00 | 言語

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