叙実性と ECM構文

英語には that 節を補文とする述語がたくさんある。しかし次の2種類の動詞は叙実性において異なる。

(1)
a. I regret that I studied linguistics.
b. I believe that he studied linguistics.

(1a) では that 節の命題が真であることを前提としているが (1b) ではそのような前提がない。日本語では (1a) の that は形式名詞の「の」を使い (1b) の that は補文標識というよりは引用標識の「と」を使って表す。

(2)
a. 言語学を勉強したのを後悔している。
b. 言語学を勉強したと信じている。

(1) や (2) の a と b とでは factivity が異なるから、否定文にすると否定の作用域が異なってkる。

(3)
a. I don't regret that I studied linguistics.
b. I don't believe that he studied linguistics.

(3a) の否定辞は that 節までは及ばないが (3b) の否定辞は that 節までかかり I believe that he didn't study linguistics. という意味が出てくる。日本語でも形式名詞と引用標識を使うので当然、同じような意味になる。

(4)
a. 言語学をべんきょうしたのを後悔していない。
b. 言語学を勉強したと信じていない。

このような factivity の違いがいわゆる SVOC の to 不定詞をとるかどうかにも関わってくる。 that 節をとる述語はあるものは to 不定詞補文をとったり、あるものは to 不定詞補文をとらないのは、この叙実性と関係してくるのである。

(5)
a. *I regret myself to have studied linguistics.
b. I believe him to have studied linguistics.

(5a) が非文なのは regret が叙実動詞であるためで、 (5b) が可能なのは believe が非叙実動詞だからである。このような構文では動名詞が事実を to 不定詞が未来指向で非事実を表すというのが当てはまる。叙実動詞はやはり動名詞を取るし、非叙実動詞は to 不定詞をとる。

(6)
a. I regret my having studied linguistics.
b. *I believe his having studied linguistics.
非叙実動詞ではやはり動名詞をとると非文となる。さらに it that の目的語をとるかどうかもこの叙実性が関わってきている。

(7)
a. I regret it that I studied linguistics.
b. *I believe it that he studied linguistics.

it that は形式名詞というよりは the fact that が collapse したものであると考えられているから叙実述語しかとることができない。非叙述述語で認識を表す believe の場合は非文となる。

[PR]
by miyakmae | 2015-01-01 00:00 | 言語

言語学と猫のブログ    HP「英語と日本語の窓」は    http://miyak.web.fc2.com


by miyakmae
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31