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有生性

日本語と英語の大きな違いは有生性に敏感であるかどうかという点である。日本語は有生性に敏感な言語で英語は有生性よりも数に敏感な言語と言える。有生性に関して日本語に顕著なのは「存在」を表す「いる」と「ある」の区別であるが、それ以外にも多く有生性の違いで日英の違いが現れているものがたくさんある。最近、考えている違いに英語の前置詞 with がある。with は辞書では「同居」や「所有」や「道具」を表す前置詞として説明しているが基本は A with B とAと Bの togatherness を表してるだけで、それが文の中で「同居」とか「所有」という意味に変わるだけのことである。しかし日本語は有生性に敏感な言語なので英語では同じ with を使っているのに日本語では同じ表現で表すことができなくなっているのである。

(1)
a. He broke the window with a hammer.
b. He broke the window with his friend.

(2)
a. ハンマーで窓を壊した。
b. *友達で窓を壊した。
c. 友達と窓を壊した。

英語では (1a) の場合も (1b) の場合も with で表現するが日本語では有生性の違いで同じ表現形式で表すと片方が非文となる。無生の「ハンマー」の場合は道具を表す「で」で表現して有生の「友達」の場合は comitative の「と」で表さなくてはならない。


by miyakmae | 2016-01-01 00:00 | 言語

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