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島の制約

英語では wh句は島の制約がかかって自由に移動できなくなっている。

(1)
a. John saw the man who saw the dog.
b. *What did John see the man who saw?

(1b) が非文なのは関係節という島から wh句を移動させたためである。しかし日本語ではそのような島の制約がかかっていないように見える。

(2)
a. ジョンは犬を見た男に会った。
b. ジョンは何を見た男に会ったの。
c. 何を見た男にジョンは会ったの。

しかし (2b) や (2c) は英語の (1b) と同じ移動が起きているのではなく、 (2b) や (2c) は日本語特有の scrambling が起きているだけで wh 句の移動が起きているのではない。それでは日本語には英語の wh 句の制約がないのかというと、そうではない。

(3)
a. 太郎は次郎が駅で花子に会ったと思っている。
b. *花子には太郎が次郎が駅で会ったと思っている。
c. 花子に太郎が次郎が駅で会ったと思っている。

単なる scrambling でなく「花子には」と (3b) のように題目にすると移動に制限がかかってしまうのである。 (3c) のように「花子に」と単純な scrambling の場合は問題ないが (3b) のようになると英語と同じく島の制約がかかってしまうのである。

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by miyakmae | 2017-02-28 08:46 | 言語 | Comments(0)

meronymy

meronymy は言語の重要な概念である。哲学でも昔から mereology として研究されてきている。part/whole の関係は synecdoche や metonymy に発展するので、meronymy/holonymy の関係がわからないと話者の意図する意味がわからなくなってしまうのである。

(1)
a. I don't have a roof over my head.
b. I forgot locking my car.

(1a) は roof がないのではなく、当然、 a house がないのであるし、 (1b) は car の鍵ではなく、 the door of my car の鍵である。私たちは全体そのものを表すのに部分を使用することが多くあるし、その逆もまたある。

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by miyakmae | 2017-02-27 08:34 | 言語 | Comments(0)

troponymy

生物学の taxonomy と同じように言語学でも語の意味を探るのに paradigmatic relations で上位語と下位語のように分類をする。このような分類は名詞で一般に行われ、 vehicle は car の上位語であり、car は vehicle の下位語であると分類される。人間の知識はこのような hierarchical relationships で脳に store されているのであると思う。名詞は hypernym/hyponym と上位語・下位語の分類がよくなされるが、動詞でも上位語・下位語の分類がなされる。動詞における上位語を一般的に troponymと言われ、様態、手段、道具、スピード、度合いなどの副詞で上位語と下位語の区別がなされる。例えば

(1)
a. move/drag
b. close/lock
c. move/run
d. close/slam

(1a) は様態の違いで上位語の move の様態が足を引きずりながらの move を drag という下位語で表すことができる。 (1b) は上位語の close に対して道具の鍵を付けて close するのが lock であり、 (1c) の move に対してスピードにおける下位語が run となる。また (1d) の上位語 close に対してやり方は同じであるが程度が激しいのが下位語の slam となる。このように動詞も人間は troponyms と hyponyms に分けて脳で分類しているのである。

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by miyakmae | 2017-02-26 08:40 | 言語 | Comments(0)

achieve

あまり考えていなかったが achieve って come to the head という意味だった。achieve は culminate と同じような意味だったんだが、英語の head を使った表現で achieve というような表現はないから、ゲルマン系の表現ではなくロマンス語系の表現なんだろうか。フランス語やイタリア語やスペイン語で cap を使ったイディオムで「到達する」というような表現があるのかな?どれも知らないからわからない。しかも achieve リニアなhorizontal line の先頭に着くという意味よりは多分 vertical な column のような先頭、つまり top に着くというような意味なんだろうな。
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by miyakmae | 2017-02-25 21:15 | 言語 | Comments(0)

語彙的アスペクトの訳語

動詞のアスペクトに関する分類である Aktionsart いわゆる lexical aspect の分類は state verbs, activity verbs, accomplishment verbs, achievement verbs と分類されているのであるが、日本語訳の統一がなされていないので最初に学んだ時は、一時、何が何なのかわからなかった記憶がある。

state や activity は問題ない、それぞれ「状態動詞」「活動動詞」である、「活動動詞」は人により「動作動詞」ともいわれている。厄介なのは accomplishment verbs と achievement verbs の訳である。人により前者を「完成動詞」後者を「達成動詞」と呼んだり、また前者を「達成動詞」後者を「到達動詞」と読んだりする。同じ 達成動詞でも人によって指す動詞が全く異なってしまうし、達成と到達の意味の違いがぼやけてしまう。もう訳ではなく、そのまま achievement とか accomplishment とか、もしくは動詞の意味素性を使って、 accomplishment や achievement はやめてしまい[ +- dynamicity, +-duration, +-telicity] だけで表してほしい。


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by miyakmae | 2017-02-24 09:30 | 言語 | Comments(0)

「いく」と「くる」

「いく」と「くる」は大抵が別の概念を表すときに両方とも対として使われるが、「いく」にすると非文になる場合もある。

(1)
a. 本を買ってきた。
b. 本を買っていった。

(2)
a. 太郎が入ってきた。
b. 太郎が入っていった。

(3)
a. 声が聞こえてきた。
b. *声が聞こえていった。

(4)
a. りんごを送ってきた。
b. *りんごを送っていった。

なぜだろう。


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by miyakmae | 2017-02-24 05:20 | 言語 | Comments(0)

いっぱい

自動詞には動作主を主語にする非能格動詞と主題を主語にする非対格動詞の2種類に分かれる。

(1)
a. 選手がグラウンドでいっぱい走った。
b. バラが部屋でいっぱい枯れた。

(1a) の「走る」は非能格動詞で (1b) の「枯れる」は非対格動詞である。それぞれ「意図的に」を付けると異なった振る舞いをする。

(2)
a. 選手が意図的にグラウンドでいっぱい走った。
b. *バラが意図的に部屋でいっぱい枯れた。

また (1a) の「いっぱい」は選手の数量を表しているのではなく、走った程度を表しているが、 (1b) の「いっぱい」はバラの数量を表している。このように非能格動詞と非対格動詞は「いっぱい」の意味が異なってくる。

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by miyakmae | 2017-02-22 08:58 | 言語 | Comments(0)

「くる」

日本語はゲルマン語と違い、動詞の中に様態を表すことはできないので補助動詞の「くる」などを使い動詞の様態を表すことは理解できるが、それ以外にも「くる」とか「いく」がいろいろな意味を持つのがよくわからない。

(1)
a. 太郎は歩いてきた。
b. ドローンが飛んできた。
c. 人口が増えてきた。
d. 太郎はジーパンをはいてきた。
e. 太郎は夕食を食べにきた。
f. 太郎が手紙を書いてきた。

すべて「きた」だが意味が異なる。補助動詞を使うこと事態不思議なのに、意味が異なると摩訶不思議となる。

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by miyakmae | 2017-02-21 07:38 | 言語 | Comments(0)

辞書

動詞の意味の分析は一般に primitives に分けて decompositional に行うのが一般的である。例えば John broke the dishes. は

(1)
a. John broke the dishes.
b. break [[X DO] CAUSE [BECOME[ Y <broken>]]]
X=John, Y=the dishes

しかし我々はそのようなステップごとの意味解釈をするというよりはもっと直接的に

(2)
a. John broke the dishes.
b. break (in pieces) ↔ shatter
John, the dishes

(2) のように meaning postulates のように関係性に重きを置いて意味のとらえ方をしている。語の意味は componential というよりは relational のような気がする。だから hyponym/hypernym とか holonym/meronym とか coordinate relations とか troponym/entailment という概念が重要だとおもう。だれか hyponym dictionary みたいなものとか troponym dictionary みたいなものを作ればいいのにな。丁度、生物学の taxonomy dictionary みたいに。

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by miyakmae | 2017-02-20 08:54 | 言語 | Comments(0)

生成語彙論

生成語彙論の基本的な立場は語の意味を今までの辞書的な意味ではなく、我々の心の中にある心的な意味を表すことである。そのため qualia というラテン語を使ってその語が

(1)
a. What kind of thing is it?
b. what kind of thing is it made of?
c. What kind of thing is it used for?
d. What kind of thing causes it?

どのようなかたちで心に表示されているかを表すのが目的である。つまり語の encyclopedic meaningを映し出すのが生成語彙論の目的である。(1a) は「それ何」に答えるものでその語の hyponym/hypernym 関係を表すものである。 (1b) は「それ何でできているの」と語の meronymy 関係を明らかにすることであり、 (1b) は「何に使うの」とその telicity を明らかにして、最後の (1d) は「どうしてできたの」とその agentivity を明らかにするものである。例えば bread は

(2)
bread
QALIA 1. food
2. flour
3. eat
4. bake

(2) のように表す。そのため私たちは hyponym/hypernym 関係、meronymy 関係という semantic relations を無意識に援用している。

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by miyakmae | 2017-02-20 06:39 | 言語 | Comments(0)


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