日本語の再帰代名詞「自分」は複雑な振る舞いをする。
(1)
a. 太郎は次郎に自分のビール瓶で殴られた。
b. 太郎は花子に自分の部屋で泣かれた。
(1a) の「自分」は「太郎」であるが (1b) の「自分」は「太郎」の場合と「花子」の場合がある。しかし
(2)
a. 太郎は花子に自分の部屋で髪の毛を切られた。
(2a) の「自分」は「髪の毛」の解釈によって異なってくる。もしも「髪の毛」が「太郎」の「髪の毛」であるならば「自分」は「太郎」であるが、もしも「髪の毛」が「花子」の「髪の毛」ならば、「自分」は「太郎」でも「花子」でも可能である。このような解釈を日本人は無意識にしているのであるが、どのような規則に基づいて行っているのであろうか。