接尾辞の -able は一般に動詞について目的語である主題を指すと言われている。
(1)
a. The man loves his children.
b. His children are lovable.
lovable が指示するのはもともとの (1a) の目的語である。-able は過去分詞形をつくる -ed と同じく基本は他動詞にしかつかないことになるが、実際には自動詞にも名詞にもつくからややっこしい。
(2)
a. The government should be accountable.
b. This type of food is perishable.
c. This matter is stutterable.
d. John is knowledgeable.
(2a) のもとの account は account for the government と前置詞がないと他動詞的には使えないし、 (2b) のもとの perish は自動詞であり、 (2c) のもとも stutter と自動詞である。最後の (2d) のもとの knowledge は名詞である。そうすると他動詞の目的語をもつ動詞に -able がつくという説明は崩れることになる。しかし (2a) は account for で他動詞で -able がつく過程において前置詞の for がなんらかの理由で消えたと考え、 (2b) の perish は非対格動詞だったので表層の主語はもともとは perish の目的語であったと分析するのが最近の文法である。残るは (2c) の非能格動詞の stutter である。これだけは目的語でも主語でもない語用論的なコンテクストによるものを指すので、ちょっと (1) のような -able ではないというのがわかる。あとは (2d) の名詞につく -able である。これは know という動詞に -ledge という接尾辞をつけて名詞に変えたものを、さらに転換で動詞に変えてそれに -able がついたと考えるのがいいのであろうか。しかし perish のように非対格動詞であると考えることは少々難しいので別の考えが必要になってくる。