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不可算名詞

英語教育の中ではどの名詞が不可算名詞でどの名詞が可算名詞であるかをはっきりと覚えるような教え方をするが、基本はすべての名詞が可算名詞でもあり不可算名詞でもあると柔軟に教える方がはるかに間違いが少なくなると思う。Lewis Carroll の有名な Cheshire Cat が「最近、どう?」という時の描写に

(1)
a. the Cat said as soon as there was mouth enough for it to speak with

というような表現がある。Cheshire Cat ファンのわたくしはこの文を見ていつもわくわくするのである。Cheshire Cat は grin だけを残して消えていったり、ぼんやりと現れたりするのであるが (1a) の時はまだ a mouth にはなっていないのだが、でも a mouth に近い mouth なのである。このようなことが名詞を単純に可算名詞と不可算名詞に2分してしまうと、 Cheshire Cat の良さが現れてこなくなってしまう。わたくしの好きな(嫌いな)文に Allan (1980) の次のような文がある。

(2)
a. Emmy finds squashed spider more nauseating than the thing alive.

spider は a spider であり、でも a spider でもないのである。このどちらともいえない fuzzy な感覚が微妙に好きなのである。普段は discrete math の世界にいるので白黒を単純に必ず決めたいのであるが、英語の冠詞の世界だけは、この白黒がつかない fuzzy な世界がとてもしっくりいくのである。そうでないと

(3)
a. There is more desk for two more people so come over here.
b. This termite seems to prefer book to magazine.

(3) のように言えなくなってしまう。

不可算名詞_b0356108_05061513.jpg

by miyakmae | 2017-06-23 05:06 | 言語 | Comments(0)

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