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左方移動

左方移動にはいろいろなものがある。left dislocation と呼ばれる topic topicalization やある句を焦点化する focus topicalization などである。他にも分裂文や疑似分裂文も左方移動といえる。

(1)
a. John likes Mary.
b. Mary John likes her.
c. Mary John likes.
d. It is Mary that John likes.
e. What John likes is Mary.

(1a) が無標の文である。 (1b) が左方転移と呼ばれるもので話題の話題化と呼ばれるものである。 (1c) が焦点の話題化と呼ばれるもので一般に左方移動と呼ばれる。(1d) は分裂文で (1e) が疑似分裂文である。それぞれ日本語にすると次のようになる。

(2)
a. ジョンはメアリーが好きだ。
b. メアリーはジョンが好きだ。
c. メアリーをジョンは好きだ。
d. メアリーをジョンが好きなのだ。
e. ジョンが好きなのはメアリーだ。

普通日本語では分裂文と疑似分裂文とは区別がないと言われているが、一応 (2d) を分裂文にして (2e) を疑似分裂文にする。 (1b) と (1c) の違いは、 (1b) は話題化で「メアリー」を話題にあげて、結論で「ジョンが好きだ」と述べているものである。一方、 (1c) は「ジョンは誰かを好きだ」という前提があり、それの答えとして「ジョンが好きなのはメアリーだ」とメアリーを焦点化しているのである。統語的にも (1b) の左方転移と (1c) の焦点の話題化構文とは島の制約に関して異なったふるまいをする。

(3)
a. My father, I hardly ever see him and my mother when they are glaring at each other.
b. *My father, I hardly ever see and my mother when they are glaring at each other. (Ross (1986:256)

島の制約のある等位構造から移動させると左方転移構文では問題がないが焦点の話題化構文では非文となる。


左方移動_b0356108_05580936.jpg

by miyakmae | 2017-05-09 05:58 | 言語 | Comments(0)

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